2022年7月27日のトピックス

昨日7月26日、兵庫県公館において「ユニバーサル社会づくり賞」「みんなの声かけ運動協定締結式」が開催され、選考委員を代表して出席しました。

2022年7月27日

昨日7月26日、兵庫県公館において「ユニバーサル社会づくり賞」「みんなの声かけ運動協定締結式」が開催され、選考委員を代表して出席しました。

さまざまな分野で、ユニバーサルな兵庫県の高揚に貢献された方々に感謝するとともに、今後ますますのご活躍を、心から願いました。

受賞された皆さま、本当におめでとうございます!!!

17年前に、井戸前知事とともに「兵庫をユニバーサルな自治体にしましょう!」と決意して開始したこの取り組みを、新たに就任された斎藤知事にもしっかり引き継いでいただけるよう、ナミねぇも努力を惜しまないつもりです。
斎藤知事、頑張ってや~!!

<by ナミねぇ>

【アーカイブ】ユニバーサル社会の実現を目指す、プロップ・ステーション主宰の国際会議は、2005年 兵庫/神戸の地から、始まりました

【アーカイブ】ユニバーサル社会の実現を目指す、プロップ・ステーション主宰の国際会議は、2005年 兵庫/神戸の地から、始まりました

<by ナミねぇ>

月刊NEW MEDIA 2005年11月号より転載

「第10回チャレンジド・ジャパン・フォーラム2005 国際会議 in HYOGO/KOBE」報告

10年目を迎えたCJF、「ユニバーサル社会」づくりは理念から実践の段階へ

すべての人々が持てる力を発揮して支え合う「ユニバーサル社会」づくりを提唱する「チャレンジド・ジャパン・フォーラム」(CJF)の第10回大会が、阪神・淡路大震災10周年を迎えた兵庫県神戸市で去る8月に開催された。国内外から、また産・学・官・政の各界やNPO、障害を持つ当事者から、さまざまな実践報告や提言が行われた。(報告:中和正彦・ジャーナリスト)

阪神・淡路大震災で生まれた「ユニバーサル社会」意識

「阪神・淡路大震災からの復旧・復興は、若い人も年配者も、障害のある人もそうでない人も、すべての人々が努力して支え合うことによって初めて実現しました。そのような意味で、震災10年のこの地で10回目のCJFが開催されることを大変意義深く感じます」

井戸敏三・兵庫県知事は、開会の挨拶の中でそう述べ、兵庫・神戸の地からユニバーサル社会づくりがいっそう進展することに期待を寄せた。

CJFは10年前、自立しようとする障害者を「チャレンジド」(挑戦すべき使命やチャンスを与えられた人という意味を持つ米語)と呼び、チャレンジドが社会を支える一員になれる社会づくりを目指してスタートした。やがて、女性、高齢者、被災者、さらには少子高齢社会への備えを待ったなしで迫られているすべての日本人も「チャレンジド」であると規定し、「すべての人が持てる力を発揮して支え合うユニバーサル社会」を目指す活動へと発展した。

共感を寄せて壇上に立つ顔ぶれは年々豪華になり、今回は閣僚2名、国会議員2名、知事3名、市長3名、海外ゲスト4名を含めて、産・学・官・民の第一線で活躍する人々や障害当事者が集った。その中に、CJFに集う人々に大きな影響を与えた米国女性の姿もあった。米国国防総省コンピュータ電子調整プログラム(CAP)ディレクターのダイナー・コーエンさんだ。

究極の目標はすべての人が誇りを持って生きること

CAPは国防総省のみならず、他省庁の障害を持つ職員のIT支援も一手に担っている組織。CJFを主宰する社会福祉法人プロップステーションの竹中ナミ理事長は、1999年にコーエンさんに初対面した際に「どうして国防総省がそんなにチャレンジド就労支援に熱心なのか」と尋ねたところ、次のような答えが返ってきたという。

「すべての国民が誇りを持って生きられるようにすることが、国防の第一歩ですから」
感銘を受けた竹中さんは、2000年のCJFにコーエンさんを招聘。その講演は浅野史郎・宮城県知事らCJFの支持者たちにも広く感銘を与え、「すべての人々が誇りを持って生きられるように」がチャレンジド就労支援やユニバーサル社会づくりの究極の目標として共有されるようになった。

コーエンさんは今回、雇用・交通・通信など、あらゆる面での障害者差別を禁じた「障害を持つ米国人法」(ADA)が制定されての15年間で、米国社会がどう変わったかについて語った。

加齢によって身体機能に障害が出ても、また、イラクやアフガニスタンから障害を負って帰還しても、本人の意欲さえあれば支援機器などを活用した新たな活躍ができる社会環境が整ったという。そして、実際に多くの障害を持つ人々が社会に貢献してきたという。

自らも難病による内部障害を持ちながら活躍してきたコーエンさんは、「私たちは障害を持つ米国人であることに誇りを持っている」と講演を結び、大きな拍手を浴びた。

ついに動き始めた国レベルの取り組み

日本側も、コーエンさんが前回招かれた5年前に比べると、国政レベルで大きく動き始めていることが感じられる内容だった。

例えば、坂本由紀子・参議院議員ら与党の国会議員有志は、ADAに学びながら日本にマッチした「ユニバーサル社会」形成のための基本法を制定しようと、「与党ユニバーサル社会形成促進プロジェクトチーム」(野田聖子座長)を結成。今年5月にはCAPも含めた米国視察を行った。坂本議員は、その時の見聞からこう決意を語った。

「米国では、障害がある子も皆と同じ学校で学んで、大学も行きたければ同じように行けます。きめ細かな就学支援の手だてが取られています。日本は10年どころか30年遅れているという思いを強くしました。日本の場合は盲学校・ろう学校・養護学校で特別な教育をすることになっています。一見親切なようですが、普段接する機会がなくなるので、大人になって会っても心のバリアがなかなか取り除けません。教育制度の抜本的な見直しが必要と思いました」

就労や社会参加に関しては、すでに抜本的な見直しをはかった法案の是非が国会で問われた。先の国会で成立した改正障害者雇用促進法と、廃案になった障害者自立支援法である。

後者は、障害者に自己負担を求める点に猛烈な反対が巻き起こり、その面ばかり注目されてしまった。しかし、この2つの法案は、働く意欲も潜在能力もあるのに各種のバリアのために働けない人を支援して自立を達成してもらうのが共通の目的であり、自立を阻む過酷な負担を課そうというものではない。

尾辻秀久・厚生労働大臣(当時)は、「(保護から自立支援へと)障害者施策の考え方を大きく変える第一歩にしようということで頑張った法案です。ここで頓挫してはいけない。次の国会が開かれたら、もう一度国会に出して成立させていただきたい」と強く理解を求めた。

自立しようとするチャレンジドにとっては、交通などの物理環境にあるバリアも大きな問題。この点については、北側一雄・国土交通大臣(当時)が駆け付け、ひとつの方向性を示した。

「旧建設省が、公共建築物を高齢者・障害者にも使いやすいものにするよう定めたハートビル法を作りました。旧運輸省は、交通バリアフリー法を作りました。その後、両省は国土交通省に統合されました。そこで今、2つの法律も一体にして、まち全体としてのバリアフリーを強力に推進できるようにしたいと考えています。来年の通常国会に提出したいと思っています」

また、大臣は同省が実証実験中の新しい情報インフラ「自律移動支援プロジェクト」を、同プロジェクト委員長の坂村健・東大大学院教授とともに紹介した。

これは、携帯端末を持って移動すると、町中至る所に設置されたICタグから案内情報を受け取れるというシステムで、白杖を突いて歩く視覚障害者や外国人の道案内も想定している。

国土交通省は、大臣のほかに事務次官や政策統括官も出席してこのプロジェクトのPRに務め、フォーラム参加者を対象にした無料体験ツアーも行うという熱の入れようだった。

能力あるチャレンジドが当たり前に要職に就くまで

前出・コーエンさんとともに米国から招かれた車いすのゲストがいた。米国連邦公共交通局市民権室長のマイケル・ウインターさん。米国の変化を自らの人生に重ねて、次のように語った。

「私は27歳まで、電車にもバスにも乗れませんでした。その私がいま、公共交通が障害を持った人にもきちんと利用できるかどうかを監督する仕事に就いています。興味深い展開だと思います。ちなみに、15年前のADA制定以前は15%のバスしか車いすで乗れませんでしたが、今は9割が乗れます。しかも、それは高齢者や一般市民にも乗れやすいものになっています」

第10回の記念大会の内容は盛りだくさんだった。前述したほかに、自宅や施設でパソコンやインターネットを武器にして働くチャレンジドの事例発表、企業のチャレンジド・テレワーク事例発表、「ユニバーサル社会」の理念に賛同して集まった知事や市長によるトークセッションなどなど……。

だが、ウインターさんやコーエンさんのように大きな組織の中で要職に就いて活躍する日本人チャレンジドの姿は、まだなかった。そのようなチャレンジドが珍しくなくなるまで、CJFの問題意義はあり続けるのかもしれない。


大会の最後に「宣言」を発表


会場は神戸ファッションマート1Fアトリウム


「ユニバーサル基本法制定にむけて」を議論したメンバー。写真後列左から坂本由紀子・参議院議員、大石久和・東京大学大学院情報学環教授、ダイナー・コーエン・米国国防総省CAP理事長、竹中ナミ・プロップステーション理事長、山本かなえ・参議院議員、清原桂子・兵庫県理事、前列左からスポーンタム モンコンサワディ・タイ国パタヤ市レデンプトリスト障害者職業訓練学校長、マイケル・ウインター・米国連邦公共交通局市民権室長


基調講演「Let’s be proud!」をテーマに話すダイナー・コーエン・米国防総省CAP理事長


「ユニバーサル社会創造のムーブメントを発信しよう」をテーマに『自律移動支援プロジェクト』を話し合った写真右から坂村健・東京大学大学院情報学環教授(自律移動支援プロジェクト委員長)、マイケル・ウインター・ADA制定に寄与した連邦公共交通局市民権室長、北側一雄・国土交通大臣(当時)


初日の夜に行われたコミュニケーションパーティに登場した「あぶあぶあコンサート」


総合司会は初日を黒岩祐治・フジTV「報道2001」キャスターと竹中ナミで、2日目を安延申・国際IT財団副理事長(ウッドランド社長)と竹中ナミ


小泉首相もビデオメッセージ。「チャレンジドの波を起こそう、ね、ナミさん」


グスタフ・ストランデル・スウェーデン福祉研究所長と話す貝谷嘉洋・日本バリアフリー協会代表


「『障害者』から『チャレンジド』へ」を話し合った写真右から大平光代・大阪市助役、須藤 修・東京大学大学院情報学環教授(CJF座長)、尾辻秀久・厚生労働大臣(当時)、坂本由紀子・参議院議員


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