2023年5月30日のクリップボード

読売新聞夕刊 令和5年5月27日より転載

足で操縦 ドローンに夢

神戸の高2 国家試験挑む


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【本文】

生まれつき両腕が欠損している神戸市東灘区の高校2年宮崎美侑さん(16)が6月、ドローン(小型無人機)の操縦士の国家資格試験に初挑戦する。両足の指で操縦する訓練に3年前から取り組み、講師が太鼓判を押すほどの実力を培った。「カメラ越しにきれいな景色を眺められるのが魅力」と語り、「障害のある人たちに『やればできる』という勇気を持ってもらえれば」と意気込む。(新谷諒真)

5月中旬、神戸市須磨区の室内スポーツ練習場。椅子に座る宮崎さんが別の椅子の上に両足を伸ばし、足の指でコントローラーのスイッチを押すと、ドローンのプロペラが回転し、高さ1メートルに浮かび上がった。内蔵カメラの映像をモニターで見ながら、足の指で巧みにレバーを操って円や8の字を描くように飛ばした後、静かに着地させた。

小さい頃から「ひとりで何でもできるようになりたい」と、両足の指と左肩に残った手の指を駆使し、食事や着替えなどたいていのことを一人でこなしてきた。ノートに字を書く時は右足の指を使い、小学校から高校まで他の生徒と同じ教室で授業を受けてきた。「両腕の欠損を不自由だとは思わない」と言い切る。


足の指でドローンを操作する宮崎美侑さん(左)と、支援する社会福祉法人理事長の竹中ナミさん(神戸市須磨区で)=三浦邦彦撮影

理系科目やIT(情報技術)への興味が強く、中学1年だった2019年頃から、IT分野で障害者らの就労支援を行う社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市東灘区)で足の指を使ってタイピングの技術を学んできた。

ちょうどその頃、法人理事長の竹中ナミさん(74)は、新たにドローン操縦技術の習得支援にも乗り出そうとしていた。懸命に練習して上手にキーボードを打つ宮崎さんに「前向きで器用なあなたならできる」とドローンへの挑戦を勧めた。

20年6月から、千葉県でドローンの教習施設を運営する榎本幸太郎さん(49)を月1回、神戸に招いてレッスンを受け始めた。操縦技術はぐんぐん上達。榎本さんに認められ、神戸港の夜景(21年11月)や静岡県藤枝市の花火大会(22年10月)で、人がいない区域の上空から撮影する役割を任せられた。

昨年12月、航空法改正でドローン操縦の国家資格「無人航空機操縦士」が創設された。2等と、より高度な1等がある。試験は各地のドローン教習所などで随時、行われている。

法改正前は、住宅地など有人地帯の上空でドローンを飛ばすのは、目視で機体を追える範囲内でしか認められなかったが、改正後は1等の資格があれば目視範囲外でも飛ばせるようになった。2等では有人地帯の目視外飛行はできない。

宮崎さんは「一流のドローンパイロットの証明になり、仕事を依頼してもらいやすくなる」と1等を目指すと決めた。春休みや大型連休を利用して千葉の榎本さんの教習施設に滞在。1日6時間の猛練習を繰り返した。

試験は、関連法令の知識を問う学科と、機体を目視せず、内蔵カメラのモニター越しに飛ばす実技がある。榎本さんは「足で操縦する1等資格者はこれまでにいないと思う。非常に難しい試験だが、きっと突破できる」とエールを送る。

宮崎さんは将来、ドローンを災害時の救助活動に生かすほか、撮影した映像をビジネスに使いたいと考えている。「障害や病気などで外出が難しい人たちに、神戸の風景を映像で届けたい」と夢を膨らませる。


宮崎さんがドローンで撮影した神戸港の夜景=榎本さん提供

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関連リンク

 読売新聞オンライン(動画もあります)
 足でドローン操縦、国家資格に挑戦…生まれつき両腕欠損の女子高校生「障害ある人に勇気を」 

2022年9月2日のクリップボード

パンニュース 2022年(令和4年)8月25日(木曜日)より転載

チャレンジド・プログラムVol.15

西川功晃シェフ(サ・マーシュ)講師に
神戸・くららベーカリーで講習会

神戸スウィーツ・コンソーシアム

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【本文テキスト】


竹中ナミ理事長

社会福祉法人プロップ・ステーション(竹中ナミ理事長)と日清製粉(山田貴夫社長)が主催する神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)のチャレンジド・プログラムVol.15がスタートし、7月12日に兵庫県神戸市のくららベーカリーを会場に第1回講習会が開催された。

1回目の講師は、西川功晃シェフ(サ・マーシュ)が務め、「パン コンプレ ブリエ」とアレンジアイテムを指導した。

コロナ禍で行う今年のVol.15は、参加者が会場に集まる集合形式でなく、講師を務めるシェフに地域の作業所に入り指導してもらい、その様子を全国各地に配信する形で実施していく。第1回の会場となったくららベーカリーは、阪神・淡路大震災で被災し店が半壊するも、焼け残ったお店でパンを焼き周囲を元気づけた。寅さんの映画に登場するべーカリーのモデルとなったことでも知られている。

第1回の講習会は、日清製粉営業企画部の増田梨沙氏が司会を務め進行。親しみを込めて”ナミねぇ”と呼ばれる竹中理事長が冒頭であいさつを述べ、「早いもので15年目を迎えることができた。一つの区切りとなる年の1回目を神戸のくららベーカリーで開催できるのは嬉しい。15年前の初めての年に1回自の講師を務めてくれたのが、今日と同じ西川シェフだった。今日も素敵なパン作りの技を伝授してくれると思うので、しっかり学んで新しいアイテムにしてほしい」と思いを語った。

続いてくららベーカリーの岡田崇史施設長があいさつ。「職員、メンバーの全員、とても緊張しているが、できるだけリラックスして、西川シェフのレシピを学び、新たな製品として作っていきたい」と意気込みを
述べた。

西川シェフは、「震災後に寅さんの映画の舞台にもなった、素晴らしい歴史を感じる会場で講習ができるのは感慨深い。今日はめいいっぱい楽しんでパンを作ってほしい」とあいさつした。

当日は西川シェフのほか、今井浩貴氏(ボン プレゾン)と渡遷俊和氏(パリジーノ アンド アトリエ ドゥ ママン)も駆けつけ、講習をサポートした。

講習の課題となった「パン コンプレ ブリエ」は、全粒粉を使ったパンであるパン コンプレをより簡単に美味しく作れるよう、西川シェフが考案したオリジナルの製法によるパン。フランス・ブルターニュ地方のパン ブリエの生地をベースに、パン コンプレの湯種を練り込むことで、近年、消費者に人気の”しっとり、もっちりとした食感”に仕上げることができる。バリエーションを作るにも有効だという。

講習では、全粒粉を熱湯でミキシングする湯種の作り方を学んだ後、パン コンプレの生地を手捏ねで仕込んだ。プレーンのほか、枝豆とチーズを巻き込んだ「枝豆とチーズのルーレ」や、マスタードを塗りベーコンをのせた「ベーコンとマスタードのフィセル」など、アレンジレシピも紹介した。


焼き上げたパンとともに記念撮影

この後プログラムは、9月5日にエコーンファミリー(長野県長野市)、10月13日にワークセンターれすと(東京都多摩市)、11月9日にさんさん山城(京都府京田辺市)で開催する。第2回と3回の講師を神戸スウィーツコンソーシアムの統轄講師でもある永井紀之シェフ(ノリエット)が、第4回の講師を野澤孝彦シェフ(ホーフベッカライエーデッガー・タックス)が務める。

同プログラムには、ADEKA、石川、沖縄ハム総合食品、オリエンタル酵母工業、正栄食品工業、大山ハム、月島食品工業、トクラ大阪、平瀬フーズ、フクシマガリレイ、丸紅、三井製糖、モリタンら多くの企業が協力している。

2021年8月31日のクリップボード

PCG 令和3年9月1日より転載

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日清製粉 「神戸スウィー ツ・コンソーシアム チャレンジド・プログラムVol.14」を共催
~今年度で14年目の“チャレンジドをバティシエに”を支援する菓子の講習会~7

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日清製粉 「神戸スウィー ツ・コンソーシアム チャレンジド・プログラムVol.14」を共催
~今年度で14年目の“チャレンジドをバティシエに”を支援する菓子の講習会~

当工業会賛助会員の日清製粉株式会社(山田責夫取締役社長/東京都千代田区)は、社会福祉法人プロップ・ステーション(竹中ナミ理事長)が中心となって2008年に発足した、パティシエを目指すチャレンジド(※)を支援するプロジェクト「神戸スウィーツ・コンソーシアム(以下、KSC)」を、今年度も共催している。

KSCは「洋菓子発祥の街と言われる神戸からチャレンジドのパティシエを育てよう」と企画された、日本で初めての試み。日清製粉はチャレンジドの就労の促進や雇用の創出を目指す社会福祉法人プロップ ・ステーションの活動に共感し、第1回よりこの活動を共催している。本プロジェクトでは、有名パティシエから菓子づくりの技術だけではなく、販売につながる知識も学ぶことで、チャレンジドの自立を支援する。

14年目となる今年度は、普段、チャレンジドがお菓子づくりに従事している作業所で、パティシエによる講習を実施。コロナ禍の状況に鑑み、配信方式にすることで、全国各地の作業所の人々も同時に講習に参加できる。講習の様子は、後日YouTubeで公開する。

※チャレンジド:挑戦する使命を与えられた人。米国などで障がい者に対する新しい呼称として用いられる。


祈りのプレッツェル。東本大霙災の復興支援の一環として、被災した作業所を含むKSCに参加する作業所が、霙災から5年目を迎える2016年に被災地への想いを込めた「祈りのプレッツェル」を製作し 、全国で発売した。商標登録も得ている

■令和3年度の講習会概要(予定)

開催日 会場 講師(※敬称略)

6月30日(水)カフェぽてと(兵庫県神戸市)
西川功晃(サ・マーシュ)

7月15日(木)ワークセンターれすと(東京都多摩市)
永井紀之(パティスリーノリエット)

9月27日(月)レストランぴぁ(宮城県仙台市)
渡辺靖水(とびばいさ甘座)

10月20日(水)街かどマーチcafe(大阪府大阪市)
野澤孝彦(ホーフベッカライ エーデッガー・タックス)

■問合せ:社会福祉法人プロップ・ステーション内KSC事務局
TEL.090-7909-1847 URL.http://www.kobesweets.org/

2021年5月3日のクリップボード

兵庫県功労者に228人
宮本輝さんら「県勢高揚」

神戸新聞 令和3年5月3日より転載

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兵庫県功労者に228人
宮本輝さんら「県勢高揚」

兵庫県は2日、2021年の県功労者表彰の受賞者228人(22部門)を発表した。兵庫の名を高めた「県勢高揚功労」には、芥川賞作家の宮本輝さん(74)=伊丹市=や関西学院大学長を務めた武田建さん(89)=西宮市、障害者の社会参画を推進した竹中ナミさん(72)=神戸市東灘区=ら5人が選ばれた。
(藤井伸哉)

宮本さんは1978年に「螢川」で芥川賞を受賞し、「流転の海」シリーズなどの作品では兵庫の魅力を国内外に発信した。武田さんは前県阪神シニアカレッジ学長として19年間、生涯教育に尽力。竹中さんは社会福祉法人「プロップ・ステーション」の理事長を務め、情報通信技術(ICT)を活用した福祉政策の推進にも力を注ぐ。

このほかの県勢高揚功労は、県健康財団会長の家森幸男さん(83)=京都市=と前駐日オーストラリア大使のリチャードーコートさん(73)=オーストラリア。家森さんは、「健康ひょうご21県民運動推進会議」の会長として県民の健康維持や増進に寄与。コートさんは県の姉妹都市・西オーストラリア州で、1993年から2001年までの8年間、首相として双方の交流促進を担った。

文化功労は、神戸親和女子大児童教育学科准教授の臼井真さん(60)=神戸市東灘区=や、大阪芸術大短期大学部メディア・芸術学科教授の九鬼葉子さん(62)=大阪市=らが受賞。臼井さんは元小学校教諭で、阪神・淡路大震災の復興と鎮魂を願う合唱曲「しあわせ運べるように」を作詞・作曲し、神戸市歌にもなった。九鬼さんは演劇評論家として「関西小劇場ブーム」などの取材を続ける傍ら、県芸術奨励賞選考委員などを務め、文化振興に貢献した。

防災功労には、人と防災未来センター上級研究員を務めた、前名古屋大減災連携研究センター長の福和伸夫さん(64)=愛知県=らが受賞。国際協力功労は、兵庫と中国の親善に尽くした前控尸華僑総会長の陳明徳さん(68)=神戸市灘区=らが選ばれた。

環境功労は、県環功労は、県環境審議会の大気環境部会長として、県の「脱炭素」の道筋を示した大阪商業大名誉教授の西村多嘉子さん(77)=芦屋市=らが表彰を受ける。

今年の受賞者は41~91歳(平均67歳)で女性は54人。新型コロナウイルス緊急事態宣言の発令を受け、表彰式の日程は未定という。

以下、「表彰される方々」は略させていただきます。

2021年3月24日のクリップボード

神戸スウィーツ・コンソーシアム
消費者志向活動章を受章
「公益性高く優れた取り組み」と評価

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神戸スウィーツ・コンソーシアム
消費者志向活動章を受章
「公益性高く優れた取り組み」と評価

日清製粉(山田貴夫社長)とプロップーステーション(竹中ナミ理事長)が共催する「神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)」のパティシエを目指すチャレンジドを支援する活動がこの度、消費者関連専門家会議(ACAP)が主催する第6回2020年ACAP消費者志向活動表彰にて消費者志向活動章を受章した。

「ACAP消費者志向活動表彰」制度は、消費者志向経営を推進・支援する観点から称賛に値する企業や団体等が行う活動に、「消費者志向活動章」を授与するもの。

KSCの取り組みは、「チャレンジドのプロとしての成長や自立に本業を通じて長年取り組み、実績を出している。チャレンジドの夢や未来をサポートする活動は公益性も高く非常に優れた取り組み」と評価された。表彰式は、2月25日、東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で行われた。

KSCは、「洋菓子発祥の街といわれる神戸からチャレンジドのパティシエを育てよう」と企画された日本で初めての試み。チャレンジドの就労の促進や雇用の創出を目指すプロップ・ステーションの活動に日清製粉が共感し、2008年度に第1回が開催された。以来、活動は毎年継続され、全国で将来パティシエとして働きたいと望むチャレンジドに、菓子づくりの技術だけではなく、販売につながる知識を学ぶ場を提供している。これまでのべ224人が受講し、修了生が講習会で学んだスイーツを商品化した事例もある。